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コラム

「覆面馬主の真実」【第10話】~リアルタイム進行型・競馬狂小説~

馬キュレ
日本の競馬にまた一つ輝かしい歴史が刻まれた。キングカメハメハ産駒のダービー初制覇。この偉業を成し遂げたドゥラメンテを素直に讃えたい!なんて想いに耽りながらダービーの余韻を楽しんでいたら、ふとある事が気になり始めた。それは、6号の事である。みんながみんなダービーだ!ドゥラメンテだ!リアルスティールだ!って浮かれてたのに、あいつだけ、あいも変わらず芝のレースには関心ゼロ。日本ダービーの事より、今週次々に行われる地方競馬のダービーが気になってるというんだから、おかしな奴だ。一体なぜ6号は、こんなに砂(ダート)が好きなのだろうか?気になると解明しないと気がすまない性分、ランチに6号のことをよく知る2号を呼び出し、それとなく聞いてみると、意外な真実が見えてきた。

何でも、6号が競馬にはまり込んだのは、今は亡き父の影響らしい。6号の父親は、腕がめっぽういい左官の職人さんで、無類の競馬狂い。今日は、浦和、来週は川崎、と南関東の競馬場に毎日足を運んでいた。そんな博奕狂いに愛想を尽かし、母親は家を出て行ったそうな。父一人、子一人。仕事以上に競馬に打ち込んでしまったら、当然ながら負けがこむ。いつも貧乏との戦いだったらしい。そんな親子にさらなる悲劇が襲いかかる。父があるとき癌の病魔に侵されたのだ。瞬く間に身体中に癌細胞が転移。6号は必死で看病し続けた。満身創痍となった父の唯一の楽しみは、大学生の6号に馬券を買ってこさせてのラジオ観戦。そして迎えた、東京ダービーの日・・・。大好きな父は東京ダービーの馬券を握りしめたまま、天に召されたのだという。父の最期の言葉は、こんな一言だった。「オレの仇を取ってくれ!おまえなら勝てる!」ちなみに、最期の馬券もハズレ馬券だったそうな。

1号「おいおい、2号、おまえさ、話創ってるだろ。こんなの妄想以外のなにものでもないぞ。」
2号「いや神に誓って真実なんですよ。この話。だって、変でしょ。どうして、ダート戦しか馬券買わないんですか?そんな奴います?」
1号「まあ、そうだけど、確かにあいつ変だよな。」
2号「砂で仇討ちって決めてるんですよ。奴は。」
1号「そうか、あれ、だとすると、今度の水曜日が奴のお父さんの命日ってことか?」
2号「いや、日付は分かりませんが、東京ダービーの日が命日で、間違いなく弔い合戦なんですよ。」
1号「そうなのか・・・。じゃあ、今回はオレ達も6号の弔い合戦に付き合ってやろうじゃないか、仲間なんだし。」
2号「なるほど!そうしましょう。あいつ、大井競馬場にとんでもない大金持って行く予定みたいですよ。」
1号「よ~し、オレも大勝負してやろう!」

そんなこんなで、明後日の東京ダービーに俄然やる気が出てしまった覆面馬主軍団。弔い合戦に付き合うとか何とか言ってるが、要は博奕が打ちたいだけ。そんなオレ達とは次元の違う気合いで、勝負を挑むであろう6号の究極予想に、全員で丸乗りしようということとなった。
果たして、6号は、砂で仇討ちが出来るのか?乞うご期待!


(続く)

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