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コラム

「覆面馬主の真実」【第18話】~リアルタイム進行型・競馬狂小説~

馬キュレ
この時期は、鮎である。オレも7号も鮎には目がない。二人で鮎を肴に冷酒をぐいっとやる。「あ~日本人で良かった!」って良く言うけど、日本人じゃなかったら鮎すら知らんから、この表現は変だな。

1号「なあ、7号、鮎って魚へんに占うって書くだろ。何でか知ってるか?」
7号「ああ、そういえばそうだな、何でだろ?魚の漢字って面白いよな。魚へんに春で鰆。あの鰆は、立春の頃が1番脂がのって旨いからそう書くんだよな。やるな~昔の先輩たち。」
1号「で、鮎の漢字の由来なんだけどな、これ、面白いぞ。」
7号「誰が食えるか、占いで決めたとか?んな訳ねえか、あ、占い師しか食べられなかったとか?」
1号「確かに、占いは関係あるな。」
7号「え?なんだろ?まさか鮎で占いしたとか?」
1号「正解!いにしえの先輩たちは、獲った鮎をちっこい池に輪投げみたいに投げてちゃんと入るかどうかで未来を占ったらしいぞ。」
7号「マジか。おもしれえな。生きた鮎を投げんのか・・。」
1号「大将、ちょっと生きた鮎投げて占ってみようよ。」
大将「いやいや、それは勘弁して下さいよ。」
1号「冗談、冗談。」

とそこへ、6号がやってきた。何やら、深刻そうだ。

7号「おう、一緒に鮎食おうぜ。」
6号「あ、はい。ありがとうございます。」
1号「で、どした?何かあったのか?」
6号「はい、ちょっとお恥ずかしい話なんですが・・・」

ここからの話が長すぎるので、要約すると・・・

何でも、日高の〇〇〇〇って牧場から電話があって、安くていい感じのヴァーミリアン産駒がいる、と。砂の6号にヴァーミリアン産駒は大好物だ。しかも育成も終わってて、2歳でまもなくデビュー出来ると。そんなうまい話あんのかなって聞いてみると、どうもオーナーが急に亡くなっちゃって馬自体がキャンセルになり、牧場も困ってるらしい。って事だったので、早速ブラックタイプをチェック。すると、上の兄、姉がけっこう走ってる。こんないい買い物ない、と、手付けを打ったまでは良かったのだが、実際に知り合いの先生に見に行ってもらったところ・・・あの馬は全然ダメですよ。デビューすら怪しい。太いし、バランスが悪すぎる。やってくれる人いないでしょうね。と散々なことを言われてしまった。が、すでに、牧場側には全額振り込んでしまってるというのだ。

7号「おまえ、バカか?何で馬体見ずに買ったんだよ。」
6号「写真では見たんすけど、それに血統もまあまあだったんです。」
7号「これ、2歳だろ。どうすんだよ。」
6号「どうしたらいいすかね?」
1号「え?何言ってんだ。馬なんて、馬体が貧弱でもブエナビスタみたいに走る馬だっているし、脚が外向でばらばらでもディープインパクトみたいに名馬になれる馬だっているだろ。走らせてみなきゃ分からんぞ。」
7号「アニキ、冷酒で気が大きくなってねえか。走らんもんはどこまでいっても走らんぞ。」
1号「まあ、分からねえぞ。父親くらいになるかもしれんぞ。」
6号「ホントっすか?でも先生が無理だ、無理だって言うんすよ。」
1号「誰?」
6号「〇〇先生です。」
7号「ああ、あいつか、馬の能力が分かる調教師なんていねえから、それは安心しろ。ただ、相当見た目が酷いようだから、オレが見てきてやる。」
6号「マジすか?じゃあ、1号さん、7号さんも相乗りでお願いします。」
1号「は?」
7号「アホか?」
1号「なんでオレ達がそんな馬にのるんだよ。」
6号「だって走るかもしれないんでしょ?」
7号「アニキがさっき言ってたのは、可能性の話であって、オレ達が乗るなんて一言も言ってねえぞ。」
6号「お願いしますよ。」
1号「そもそも、いくらなんだ?」
6号「300万です。」
7号「300?それって安くねえだろが、あれ、確か種付け料50万くらいだろ。」
6号「まあ、そうですけど。」
1号「もうトレーニングはしてんだろ。じゃあ、門別の先生に頼んで、とりあえずやってみてもらえば?」
6号「そうですね、で、お二人は乗ってくれるんすか?」
7号「そうだな、ここに鮎がいるから鮎で占うか、はっはっは・・」
1号「よし、じゃあ、この塩焼きな、鮎の食い方知ってるか?こうやって、身をほぐほぐして、頭をとって骨をするっと抜くんだ。これ、一発で骨が抜けたら走る、抜けなかったら走らない。」
7号「おう、面白え。アニキ頼んだぜ。」

と、鮎をほぐほぐして、しっぽを持ってスルリ!とやったら、これがお見事!一発で抜けたのだった。
6号「お~~~~!やった!抜けた!って事は、走るってことっすよね。」
7号「そうだ、良かったな。」
6号「走るんだったら乗って下さいよ。」
1号「分かった。じゃあ、門別でおろして、走りそうだったら乗ってやるよ。」
6号「え?走らなそうだったら?」
7号「もちろん、絶対乗らない!」
6号「ひどくないすか?」
1号「それが世の常ってもんだろが。」

さあて、鮎で占ったら走ると出た6号の2歳、ホントに走るんだろうか・・・?


(続く)

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