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コラム

「覆面馬主の真実」【第20話】~リアルタイム進行型・競馬狂小説~

馬キュレ
「振り向くな、振り向くな、うしろには夢はない。」

寺山修司さんが残した競馬にまつわる珠玉の文章は、何年経っても色あせない。
オレが特に好きなのが、これだ。

「振り向くな、振り向くな、うしろには夢はない。」

オレ自身が言われてるようで、いつ聞いても、いつ読んでも、ハッとさせられる。

逃げるんだ、あと少しだ。後ろからそのまた後ろから若くて強いライバルが押し寄せてくるぞ。逃げろ、逃げろ、苦しいけど、ゴールは彼方に見えている。

そうか・・オレは逃げ馬だったのか・・(笑)
いや、それもまた良し。

逃げ馬は、いつも雄々しくて、哀しい。先頭に立って、レースを作るその顔は、まさに英雄のそれだ。雄々しい。しかし、直線に向いて、突然脚が上がり失速する姿は、本当に哀しい。

逃げ切れるようで捕まるし、捕まりそうでいて逃げ切ってしまう。
見ている人をドキドキさせるのは、このスリルであろう。

逃げ馬のその姿は、本当にヒトの人生のようだ。飛ばしすぎて息切れし、次々に追い抜かれていくヒトもいれば、追い抜けそうで追い抜かせない幾つになっても強いヒトもいる。
時々ふと思う。逃げ切れるんだろうか?オレは。いや、もう捕まってしまってるんじゃなかろうか・・(笑)。

夏の福島競馬が始まると必ず思い出す逃げ馬がいる。ツインターボ!
凄かったな、あの逃げ脚。走っても走っても、たいして人気にならなかった。ずいぶん儲けさせてもらったな。

サイレンススズカもメジロパーマーも、大好きだった。1番最初に逃げ馬にハマったのが、カツラギエースだ。
今も忘れない、ジャパンカップの逃走劇。
あの長くて苦しい府中の直線をゴールに向かってひた走り、先頭で駆け抜けた。あの日、身体中に電流が走ったことを今でもよく憶えている。

振り返ると、逃げ馬をよく応援してきた自分に気づく。

好きなんだよな。
この間、4号も、オレが1番好きなかけ声は、「そのまま~!」だって言ってたな、あいつも逃げ馬好きの一員だな。

寺山さんは、こんな事も書いてる。

「人は馬券を買うとき、自分に似た境遇の馬の馬券を買う。競馬ファンが握りしめているのは、じつは、馬券なんかじゃなくて、自分自身の人生なのだ。」

境遇が恵まれない人は、いつか追いついてやるぞと追い込み馬に、サラ金ややくざに追われる人は、逃げろ逃げろと逃げ馬に・・・・。
競馬ファンは、馬券の名を借りて、自分自身を買っている、というのだ。

ん、ん、オレも7号も、何かに追われて必死で逃げているのだろうか(笑)

今週から始まる「逃げ馬プロジェクト!」
馬券は、単複勝負だからな、お楽しみに!


(続く)

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