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コラム

「覆面馬主の真実」【第25話】~リアルタイム進行型・競馬狂小説~

馬キュレ
苦節3年という言葉がある。石の上に3年という言葉もある。3年というのは、何事かを成し得る為に最低の時間ということだろうか・・。

最も美しく力強い存在の「有り様」は、少しずつ少しずつ静かに成長し確かな持続を遂げていく姿である、そんなテーゼが浮かぶ出来事が立て続けにあった。

一つ目の出来事は、土曜日の阪神競馬である。
9歳馬のエイシンビートロンが、見事勝利したのだ。10番人気。単勝は7310円もつけた。
想えば、このエイシンビートロンの競争の歴史は、あの伝説の新馬戦から始まる。

2008年10月26日、その日の京都は雨だった。1800mの芝コース、うっすら靄がかかる緑のターフ。若駒11頭が初陣に挑んだ。
強豪揃いと前評判が高かったそのレース、果たして結果は・・・・?
改めて、その掲示板を振り返ってみよう。


1着 アンライバルド(のちに皐月賞優勝)
2着 リーチザクラウン(ダービー2着。マイラーズCなどで優勝)
3着 ブエナビスタ(桜花賞、オークス、天皇賞秋、ジャパンCなどGI6勝)
4着 スリーロールス(菊花賞優勝)
5着 エイシンビートロン(8歳になり、佐賀のサマーチャンピオンG3初重賞)

錚々たる顔ぶれが、1~4着にずらりと並ぶ。うち3頭は、すぐにG1ウイナーとなった。そして、次々にターフを後にした。華やかな4頭に比べ、エイシンビートロンだけは、ダート路線に変更。8歳となる昨年、初めて佐賀のサマーCで初重賞制覇を飾った。
そんな彼が、昨日また10番人気で勝ったのだ。9歳で尚、バリバリの現役。
あの掲示板5頭の中で、オレが1番カッコいいと思うのは、エイシンビートロンである。
継続は力なり。という言葉があるが、更に言わせてもらおう。
継続こそが、最高の美徳なり。


そんな感慨に耽っていた翌朝、全米オープンテニスの女子決勝が行われた。今年の全米は、大番狂わせの末、イタリア人選手同士の決勝となっていた。
優勝したのは、フラビア・ペンネッタ。33歳にして初めてのグランドスラム優勝!
彼女が、グランドスラムのコートに立ったのは、2002年。13年前のことである。予選敗退から始まった彼女の戦歴は、苦戦の連続だった。決してあきらめないそのプレイスタイルで、徐々に頭角を現したが、ベスト8が限界だった。が、それでも彼女がテニスをあきらめる事はなかった。

そして、今日、ゆっくり少しずつ精進し続けた彼女に、突如勝利の女神が舞い降りたのだ。
33歳にして初グランドスラム優勝!これは最年長記録である。
勝利後のインタビューで、彼女は、こう言った。

「ここまでやってきて本当に良かった。実は、1ヶ月前にこの全米をもって引退を決めていました。」

あまりにドラマチックな幕切れ。オレの寝不足の目が、見開き、胸がぐいぐい揺さぶれた。

決してあきらめない。自分のスタンスで少しずつ成長する事。その精進する姿勢には、必ずや最高のご褒美と賞賛の嵐が待っている。

オレも襟を正して、精進しなければならない。
とてもとても重要な気づきをもらえた週末だった。


つづく。

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