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中野省吾騎手が天才と言われる訳に迫る

2017年6月22日(木)、前人未到の記録を打ち出しスーパージョッキーズトライアル(SJT)2017で総合優勝を飾った平成生まれの中野省吾騎手(25歳)に多くの競馬ファンが度肝を抜かれた。SJT全4戦の成績は、1着→2着→1着→1着と圧巻のパフォーマンスで優勝した中野省吾騎手は、8月に開催するJRA札幌競馬の夏の風物詩の一つ「ワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)」にWASJ史上最年少で参戦する。

かつてよりファンの間では「天才」との呼び声高く注目を集めている中野省吾騎手(1991年11月1日生まれ、2009年5月デビュー)だが、しばしば神騎乗とも評されるそのレースぶりは数字にも表れているのでまとめてみた。
馬キュレ

SJT2017「僕これ欲しくて欲しくて」

◆SJTとは?
inyofu 本年8月26日および27日にJRA札幌競馬場で実施される「2017ワールドオールスタージョッキーズ」への出場をかけて地方競馬のトップジョッキーが争う「ワールドオールスタージョッキーズ地方競馬代表騎手選定競走」がSJTです。SJT本戦(第1ステージ、第2ステージ)の計4レースにおける着順に応じた得点の合計により、地方競馬代表騎手が選ばれます。

◆SJT2017 中野省吾騎手(船橋)が歴代最高記録で総合優勝
inyofu 合計で75ポイントを獲得した中野省吾騎手(船橋)が総合優勝を果たしました。2位は42ポイントを獲得した田中学騎手(兵庫)、3位は41ポイントを獲得した永森大智騎手(高知)となり、中野騎手が地方競馬代表騎手候補、田中騎手が地方競馬補欠騎手候補として、地方競馬全国協会(NAR)から日本中央競馬会(JRA)に推薦されます。
 なお、今回中野省吾騎手が獲得した75ポイントというのは、SJTが始まって以来、歴代最高ポイントとなります。
inyofu 4戦の着順は1着→2着→1着→1着とほとんどパーフェクトな成績。この記録を破るには4戦全勝する必要があるため、おそらく当分更新されることはあるまい。さらに付け足すと、それぞれのレースにおける騎乗馬の人気は5→7→5→4。決して馬に恵まれての勝利ではないのだ。


inyofu 今日2つ勝つよ!
と言ってパドックとは別の方向に向かってた…。
この後僕らは伝説を見る事に…!
盛岡競馬場で行われたSJT2017の第1ステージで35ポイントを獲得しトップに立った中野省吾騎手は、園田競馬場で行われた第2ステージ当日、レース前に園田の鴨宮祥行騎手に「今日2つ勝つよ!」と宣言していたそう。調教師との会話では「僕これ(優勝が)欲しくて欲しくて」と本音を漏らし、前夜は緊張して胃が痛かったと話している。

inyofu 表彰式でのコメントからも、只者ではない大物感が伝わってくる。WASJへの意気込みをアナウンサーに尋ねられると、「世界の騎手がどんな騎乗をするかわからないけど、まったく負ける気はしません」と平気な面持ちで言ってのけた。その語り口調は実に堂々たるもの。若者の大言壮語と切り捨てるには惜しいほどの不思議な迫力があった

中野省吾騎手は騎乗技術だけでなく個性も光るものがあり、インタビューの回答も興味深い。
SJT2017第1ステージ後のインタビューでは、
「どんな馬でも人間が馬にハマれば他の人より圧倒的にいい成績を残せる」と答える。
SJT2017第2ステージでは、“後方からの差し” と “逃げ馬に並ぶ先行” の異なるスタイルで見事2戦連勝を果たしたが、その位置取りの質問に対しては、
「馬にハマれて馬が勝手に進んでいった。僕が選んだ道じゃないです。馬が選んでくれた道です。」と話す。
馬との呼吸・会話、人馬一体を大切にしているとのこと。
レース後に、騎乗馬を管理する調教師との会話では、調教師が「凄い」を連発していた。


SJT2017でともに優勝を競い合った騎手たちが中野省吾騎手についての印象を尋ねられると、
2位 田中学騎手(兵庫):
「上手いですよ」「盛岡の時からそう思いました」
「返し馬も丁寧に最後までしているような感じで勉強になりました」
3位 永森大智騎手(高知):
「良い意味で何を考えているか分からない」「天性のものだろうな~」

永森大智騎手は昨年のSJT2016で優勝し、WASJ2016でも3位と健闘した。その永森大智騎手を越えて1位を手にした中野省吾騎手にはWASJ2017での活躍も期待してしまう。プレッシャーもかかるだろうが、中野省吾騎手ならではの「神騎乗」で札幌競馬場を沸かせて欲しい。

南関東競馬2017年4月1日~6月21日(SJT2017最終戦前日時点)の騎手実績

かねてよりファンたちから「天才」と枕詞をつけられ注目されてきた中野省吾騎手。2016年度のリーディングは3位(暦年でのリーディングは4位)、2017年度もSJT2017前日の6月21日時点で6位と上位にランクインしているが、これだけでは「天才」と呼ばれるのにはインパクトに欠けるかもしれない。
馬キュレ

リーディングは騎手の技術以外にも、騎乗回数や騎乗馬に恵まれるか、にもよるところが大きい。そこで、どれだけ人気薄から上位着順に食い込んできているかが分かる「人気差」も合わせて見てみる。※「人気差」:単勝人気と着順の差の合計値。(例:単勝7番人気で2着は+5点、1番人気で2着は-1点、合計値は4)
1着時の人気差順を見てみると、中野省吾騎手は5位。ここでは1位の笹川翼騎手(1994年7月17日生まれ)や、2位の瀧川寿希也騎手(1995年8月2日生まれ)など、上位にランクインしている若手のホープに目がいく。
馬キュレ

次に連対率を見てみると、1着時の人気差順では上位だった笹川翼騎手や瀧川寿希也騎手を抜いている。しかしリーディングトップの森泰斗騎手や、還暦を過ぎて通算7,000勝を達成した的場文男騎手らが上位だ。
馬キュレ

では、なにがファンたちに鮮烈なインパクトを与え、「天才」と呼ばれているのだろうか。中野省吾騎手の、2着内と3着内の人気差を見てみると、これが凄い。
馬キュレ
リーディング上位の騎手は実力が支持されている上に実力馬とコンビを組むことも多いため、人気になりがちだ。2番人気で2着になっても「人気差」は「0」なので、森泰斗騎手の2着時や矢野貴之騎手の3着時の「人気差」のように、大きな数字は出にくい。
しかし中野省吾騎手は、リーディング上位で実力が知られていても「さすがにこの馬とでは・・・」と支持し難い馬とのコンビで何度も馬券内に食い込んできているのだ。この手腕はSJT2017でも見事に表れた。

中央競馬でも穴を出している

inyofu 地方所属(船橋)の中野省吾騎手とのコンビで、◎⑤フィンガーポスト見違えるほどの集中力を発揮。しぶとい末脚を発揮して3着と好走しました。

中野省吾騎手は2017年3月5日に中央競馬(中山)に初参戦し、7Rの4歳上500万下のレースでフィンガーポスト(14番人気)に騎乗して3着に入った。複勝は1,840円。フィンガーポストは、当レースの前2走は500万下のレースで8番人気14着→12番人気16着、そして当レース後の2走は500万下のレースで5番人気9着→10番人気10着と成績は振るわない。

こういうことを普段から頻繁にやってのける中野省吾騎手には何かを感じずにはいられず、観客たちの口から思わず「天才」「神騎乗」と漏れるのも不思議ではない。

中野ワールドも目が離せない魅力の一つ

2017年5月30日(火)浦和競馬の7R、中野省吾騎手は4452戦目で通算400勝を達成した。後日船橋競馬場で400勝達成セレモニーが行われ、インタビューでは、SJT2017第2レース舞台の園田競馬場や、3月のJRAでの初騎乗に際し、
「初めて乗る競馬場に行くときはどんなことを考えていますか?」と質問されると、
「何も考えないです」と中野ワールド全開で終始観衆の笑い声が聞こえた。

inyofu 「馬に乗るのはプレッシャーがなければ、とんでもなく楽しいだろうな」と瞳を輝かせながら語る中野。現在、海外での長期騎乗を念頭に入れ英会話を勉強中。天才肌の行く末が楽しみだ。
中野省吾騎手の視線は現在海外に向いているようで、英語を学んでいる様子が本人のTwitterでも公開されている。

中野省吾騎手のTwitterは、飾らない自然体の投稿が多くファンにはたまらないTwitterとなっている。「おしゃれ番長」などと呼ばれることもあり、プライベートではアーティスティックな感性も伺える。なんと、生歌も披露してくれている。


公私共に興味を惹かれる中野省吾騎手。地方競馬の騎手でも海外から声がかかるような存在になりたいそうで、今まで残してきた数字だけでなくその意気込みも立派だからますます目が離せない。高い目標に向かっていく姿はファンにとっても楽しみの一つであり、エンターテイナー的な魅力も感じる。活躍の場が増えればプレッシャーものしかかってくるだろうが、これからも中野省吾騎手には競馬を楽しんでもらいたいし長く競馬の楽しさを教えてもらいたい。

※うまキュレでは過去にも中野省吾騎手を取り上げている。
→地方競馬も見逃せない!穴を出すリーディング上位ジョッキー

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